脳循環障害と高血圧

脳の重量は人の体重の約2%と言われています。約8割が大脳、約1割が小脳です。そして脳による酸素とブドウ糖の消費量は体全体の消費量の20%を占めます。脳の脳神経細胞は脳の栄養源であるブドウ糖を自ら生成できないため、脳の血流が遮断して酸素とブドウ糖供給が途絶えると瞬時に機能停止します。脳血流は部位で異なり白質より神経細胞が集まる灰白質に多く、脳血流の多い部位ほど虚血に弱いのです。

脳の毛細血管は内皮細胞間に隙間がなく、その外側はグリア細胞というアストロサイトで覆われており、血管透過性は抹消血管の数十倍以下である。この構造は有害な物質から脳を守る働きをしており、血液脳関門(blood-brain barrier)と呼ばれる。脳梗塞、脳炎などで血液脳関門が破綻すると血漿成分が脳に露出して血管性脳浮腫(vasogenic edema)が生じる。また血中に存在するアセチルコリン、ノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質が脳内に侵入して撹乱を起こすのを防ぐために、脳血管内皮細胞はこれらの分解酵素を有します。そして脳血管障害の分類として出血性と虚血性に大別され、虚血性はさらに可逆性の一過性脳虚血発作(transient ischemic attack : TIA)と不可逆性の脳梗塞に分類されます。脳梗塞はラクナ脳梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、その他に分類されます。出血性は脳出血とくも膜下出血があります。

では、脳血流に関する危険因子とは何か? 脳神経細胞の代謝が亢進すると血管拡張因子の一酸化窒素NO(Nitric oxide)、グルタミン酸、アデノシン、Kイオンが産生されてその部の局所血流量が増加する。逆に脳神経細胞の代謝低下は局所脳血流量低下が生じる。また血液ガスは強力な血管作動因子でありNO、二酸化炭素 CO2は脳血管を拡張させ、酸素 O2は収縮させる。そこで脳循環の自己調節であるが脳血流量は血圧ー頭蓋内圧と関係あるが、平均血圧が60〜140mmHg間では血圧の変動に関係なく脳血流を一定に保つ自己調節機能(autoregulation)があり、これは200マイクロ径以上の脳動脈が収縮・拡張して脳循環を調節するためです。ところが高血圧では血管内皮細胞が障害されるために自己調節機能が破綻しており、わずかな血圧低下が脳虚血を生じさせます。すなわち血管内皮細胞障害因子、血栓形成因子および出血性素因はすべて危険因子です。最大の危険因子は加齢と高血圧で拡張期圧だけでなく収縮期圧の上昇も危険因子なのです。

脳に酸素と栄養血管を供給している一つの血管に左右の椎骨動脈があります。椎骨動脈は第6頚椎から急なカーブで横突孔内に入り第1頚椎(環椎)の横突孔から約90度のカーブで内側に入って硬膜を突き破って脊髄腔内に入り、そのまま脊髄にそりながら大後頭孔から脳内に入るので、高血圧でなくとも首を伸展して回旋した状態でボキッと矯正するのは一時的に椎骨動脈に急激な圧迫と血流障害あるいは血管に傷をつける可能性も否定できません。よって当院では第1頚椎と第6頚椎の矯正は椎骨動脈に負担をかけない方法で矯正します。また高血圧が標準値を超えた方には血流障害を起こさない施術とっております。よくある質問でアクティベータでの頚椎の矯正であれば危険はほとんどないと言われたがという質問ですが、それは間違いです。アクティベータの矯正スピードは手で行う矯正スピードの約300倍のスピードで行われるとアメリカの臨床試験で証明されていますから300倍の速さで衝撃を与えるアクティベータでも危険がないとは断定できません。

引用・参考文献:
黒田康夫(2003)「神経内科」新興医学出版
Eric R. Kandel(2014)「カンデル神経科学」メディカル・サイエンス・インターナショナル

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