交感神経が強すぎると寿命が短い?

ストレスが強すぎると交感神経が有利になります。いったい交感神経とは何か?
交感神経は自分の意思ではコントロールが不可能な自律神経系の一つで、交感神経と副交感神経の二つの異なる神経系に分けることができます。自律神経は脳の中枢から興奮を末梢に伝える神経の筋肉の運動を支配する運動神経と腺の分泌を支配する分泌神経などの遠心性繊維があり、逆の末梢からの刺激や興奮を脳の中枢に伝える神経の感覚神経などの求心性線維があります。自律神経は、呼吸器系、循環器系、消化器系などの活動調整を絶え間なくコントロールしている神経です。
自律神経系は,今までの医学では遠心性線維のみからなるとされていましたが,求心性線維も多く50%から75%も含まれていることが最近わかってきました。すなわち互いに相互作用があるわけです。
若々しく健康的であり続けるには副交感神経レベルが高く自律神経のバランスがよいことがわかってきています。では交感神経と副交感神経の特徴とはどのようなものでしょうか。

交感神経が働くと :
血管は収縮し、血圧が上がり、血流が速くなる。
心臓の拍動が速くなる。
アドレナリン・ノルアドレナリンを分泌し、免疫細胞の顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)・マクロファージ [1] が60%近く増える。
瞳孔が拡大する。
呼吸が促進する。
血圧が高くなる。
胃腸・消化管の活動や分泌を抑える。

副交感神経が働くと:
血管は弛緩し、血管が広がり、血流が多くなる。
心臓の拍動が遅くなる。
アセチルコリンを分泌し、免疫細胞のリンパ球 [2] が40%ほど増える。
瞳孔が縮小する。
呼吸を抑制する。
血圧が低くなる。
胃腸・消化管の活動や分泌を高める。

このように生体にさまざまな変化を作り出します。これ以外にも色々な生体の生理学的活動調整を絶え間なくコントロールします。
そして交感神経が過剰に優位になると顆粒球が増加して活性酸素が大量に産生され細胞内のDNAを損傷し免疫力が衰えます。その結果ガンや多くの炎症性の疾患が発症するのです。交感神経過剰による疾患は数百種類以上現存します。それに対し副交感神経が過剰優位になる疾患はほとんどなく、リンパ球が増加によるアレルギー疾患と血管の拡張によるうっ血障害などがあります。すなわち交感神経優位の方が病気になる可能性が大であることがわかります。もちろん、免疫力を上げるには両方の交感神経と副交感神経が高く働かなければなりません。しかし問題なのは交感神経が過度に優位になると不安や恐怖といった精神的状態の影響を強く受け心拍数が増え、呼吸が浅くなり血流が悪くなります。またアドレナリン受容体をもつ顆粒球を増加させ正常細胞をガン細胞に変える働きのある活性酸素を多く産生するのです。その上交感神経緊張を持続誘導し血流障害を起こすと同時に副交感神経が正常に働かないために排泄や分泌能低下を招く二重の悪循環構造を作るのです。元来、生物は副交感神経だけでした、それが獲物を獲得するために闘争と逃走が必要になった陸生動物がサバイバル・フィットネスのために進化した形で交感神経を獲得したのです。魚類は今でも副交感神経しかありません。実際解剖すると頭蓋底から脊柱下端の仙骨近くまで交感神経幹は脊柱の両側を脳脊髄神経とは別個に走り胸髄や腰髄からも出てますが副交感神経は脳脊髄神経の中を絡み合って脳、延髄、仙髄から出ています。また交感神経線維と区別できないように交感神経と混合して走っております。区別しやすいものとしては迷走神経・動眼神経・顔面神経・舌咽神経(副交感神経)の走行が最も分かりやすく、その中でも迷走神経だけは脊髄とは別に内蔵まで達しています。他には副交感神経は仙骨部から出て末梢器官にも影響を与えます。面白いことに人間は交感神経が優位になると様々な250種類以上の問題を起こしやすくなりますが副交感神経優位は限られた極少ない問題しか起きませんが、例えば体の両側に走る副交感神経の迷走神経を切断すると人間は生命維持ができなくなります。そして加齢とともに副交感神経レベルは低下していき女性では40歳、男性では30歳過ぎると急低下することが最近わかってきています。副交感神経レベルは低下し始め交感神経レベルが上昇するということは、それだけさまざまな弊害が現れることを意味します。当然、長い目でみるとそれだけ寿命を脅かす素因にもなるということなのです。ですから自律神経の乱れは放置せずに整える努力は健康にも繋がります。最も効果的な交感神経の抑制法は星状神経節抑制よりも上頚神経節でニューロンを乗り換える内頚動脈にそった上頚神経節と同時に腰部交感神経節の抑制をかけると効果的です。
またカイロプラクティックで交感神経抑制することによって交感神経優位になっていた自律神経は副交感神経に反応し、その結果交感神経の緊張を解消できるのです。

[1] 感染や感染症に対する抵抗力を作り、微生物処理やアレルギー反応を引き起こす。
[2] 無数の抗原に対して認識反応がよくなり抗体を産生して、ウイルスや菌による感染を防ぐ。

参考文献:
Eric R. Kandel, James H. Schwartz, Steven A. Siegelbaum, Thomas M.Jessell, A. J. Hudspeth (2015)「PRINCIPLES OF NEURAL SCIENCE, 5th Edition カンデル神経科学」McGraw-Hill Professional
Ernst Gellhorn(1957)「Autonomic Imbalance and the Hypthalamus: Implications for Physiology, Medicine, Psychology, and Neuropsychiatry」University of Minnesota Press (January 1, 1957)

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